ぼたん帯

着物用の反物で付け帯を作る

2006/5/1


いつものお店で、古い付下げの反物が何本も目玉商品になっていましたが、
玉石混淆の中で一本すばらしいものを見つけました。

淡いピンクの地に白いぼたんの模様が要所要所に描かれています。
見えるか見えないかの汚れがあちこちにあるので、
ん千円になっています。

もし着物にすると、牡丹の花がずいぶんの数になって、私にはちょっと華やかすぎる気がします。
地の色もちょっと綺麗すぎるかも・・・・
という訳で、欲しかったポイント柄の帯にすることにしました。

さて、帯にするとなると、お太鼓と前の柄にする花を決めなければなりません。
ポイント柄の場合、位置も重要になります。
色々眺めたり計ったり、なんだか訳がわからなくなりそう。数字に弱いうまこです。

一番派手な上の柄を眺めていて気づいたことがあります。
模様が一方に偏っているとは思われませんか?
このような花は帯の前の柄にぴったりです。
中央寄りの花があれば、それはお太鼓柄になります。
そう言った観点で選んでいくとうまい具合に
前の柄3花、お太鼓に3花、小さい3花はお太鼓のタレになります。

継ぎ目の位置が背中の結び目の中にはいるように胴の長さを選ぶと
良い具合に帯が3本取れることがわかりました。胴には2巻きできます。

思い切って、反物にはさみを入れました。
一本分はぼたんさんに差し上げることにしました。ぼたんの神様に感謝のお供え物です。

さて、いよいよ帯作成に取りかかりましょうか。

とりあえず、胴とお太鼓は別々に作ります。


まずはお太鼓を作ります

お太鼓を作る時に柄がうまく出るように大きい花と小さい花の位置を決め、
布を縫い合わせます。裏と表も決めます。

布を継いだところは2mmほどのきせを掛けてアイロンをかけます。
(縫ったところより2mmほど離れて折ること)


さて、お太鼓の柄の位置には2種類考えられます。
一つめは普通の一重太鼓。
もう一つは古い丸帯風のお太鼓の作り方です。
2種類の方法があることを知っていると布の模様の位置によって無理なく組み合わせることが出来ます。

普通のお太鼓 丸帯風 普通のお太鼓と
丸帯風を
それぞれ横から見たところ


普通の一重太鼓は一番上にひもが来て、次にお太鼓の厚み、お太鼓、中に曲げ込む分、垂れ、となります。
丸帯風は左が裏で右が表になります。
横から見たところで説明すると、一番下が垂れ、その上は背中に沿うところ、その上がお太鼓の厚み分
次にお太鼓が来ますが下に折るため、模様が逆立ちをして裏側になります。
その次が中に折り込む分となります。
ひもは背中に沿うところに付けます。

3本の帯のうち1本は普通のお太鼓風、2本が丸帯風になりました。
模様の位置によりその方が自然だったからです。

お太鼓の模様位置が決まったら

実際のお太鼓の模様を決めます。

もともと着物用なので柄の位置をお太鼓に合うように決めます。
左はお太鼓を布の左端にした場合、
右はお太鼓を布の右端にした場合です。
左の方がお太鼓柄として自然なので(花の向いている方の空間が広い)
こちらを採用します。

裏に返して決めた位置でお太鼓の巾に線を引きます。
下の写真では右の端は縫い代がぎりぎりです。




次には胴を決めます。付け帯の場合は手を2巻き目(模様のある場所)の後に付けます。

私の場合、胴一巻きは90cmくらい、手は60cmくらいです。
なので、模様の中心が手の端から100〜110cmにあるように計画します。

もし模様側の端がずっと短く、反対側が長い(160cm以上)場合は、
付け帯にしないで、お太鼓につないで普通の帯にする方が良いでしょう。

胴はお太鼓と違い、きっちり半分に折って作業する方が都合が良いので
模様の上下位置は変えません。




お太鼓と胴の位置が決まったら、次は帯芯を用意します。



お太鼓の長さの2倍の帯芯を用意します。
帯芯の巾は通常かなり広くなっているので、自分のサイズに合わせて切ります。
私は巾30cmくらいが落ち着いて見えます。
胴の横幅が広い人はどのくらいの巾が綺麗に見えるか試してみましょう。
巾が決まったら、出来るだけ長い物差しを使用し、計って線を引き、はさみで切ります。
見えない部分なのでボールペンで薄く書けば大丈夫。

胴は帯芯を縦に半分折りにして使います。


胴に巻く方も巾の2倍計って切ります。胴は縦半分に折って使用するからです。
胴の長さ分用意します。

通常帯芯は帯一本分の長さがあるはずですが、名古屋帯用と袋帯用があるのでご注意。


さて、お太鼓も胴も基本的な作り方は同じです。

中表(裏向きということ)に折り、寸法を測って線を引きます。
(裏なので、あまり気にせず、ボールペンで薄く書きました)

線を引いた後は裏返し口を残して普通に縫います。
絹の反物は目が詰んでいて縫いにくいのでなるべく細く丈夫な針を使って
一針ずつ慎重に縫っていきます。でも、目はそれほど細かくなくても大丈夫です。

返し口は胴は手先でない方の端、お太鼓ならタレでない方が良いのですが、
もしその部分がダメなら模様がない場所にしましょう。
端でない場合、返し口は広めにあけましょう。


縫い終わったら、裏を縫いつけます。
もし裏を縫わないと、表地と裏地が離れ、裏地を落ち着かせるのに
大変手間がかかるのです。
今からの作業自体も結構手間がかかるのですが、
これを省略した時の方が何倍も大変なので
焦らないでじっくり一針ずつ縫ってください。

赤い点線は見やすくするため画像に処理をしたものです。

細かい点線は最初に縫った場所です。

表地の縫い目のすぐ隣に来るように、2つ折りにした芯地のあいだに表地を挟んで、
長い点線のように縫って表地と芯地を固定します。

これは固定するだけなので、おおざっぱに緩く縫えばいいです。
途中に返し口がある場合は、そこは縫わないようにします。

お太鼓の場合は両脇ともに縫います。
立体的になるので、画像はありませんが、基本的な作業は胴と同じです。



縫い終わったら、いよいよ表に返します。
端から慎重に生地の表を引っ張り出します。


上の写真の様に少しずつ返していき、最後に完成です。
お太鼓も同様に返します。

返し終わったら、アイロンをかけ、返し口を縫います。
縫い目が見えないように綺麗に縫いましょう。
ただし、返し口が見えない部分にある場合はそれほど気にしなくても大丈夫。


付け帯にする場合は、お太鼓を結びやすいように上の図を参考にして
ひもを付けます。
ひもはストッキングを2重にした物が使いやすいです。
見た目を考える場合は縫い目のあいだに押し込んで縫います。

また、胴の手先と反対側の端を5cmほど折り返して
指が入るように縫います。


この付け帯の締め方は付け帯の締め方あるいはタマネギ染め麻の付け帯を参考にしてください。
ただし、普通の一重太鼓を丸帯風では
お太鼓の作り方が違いますが、
手を入れて固定する方法は共通です。


普通の長い帯にする時はお太鼓を半分に折り胴を差し込んで縫います


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