初夏の着物ライフ

まずは下着の工夫から

2006/5/15

名古屋の夏は蒸し暑いので
着物を着ようとすれば、相当工夫しないと体調を崩すことになります。

しかし、夏にはまだ時間があっても、5月の連休をすぎると初夏の季節となり
真夏の蒸し暑さには無くとも、今までの下着ではやはり暑くてつらい日もあるようになります。

そこで4月に入ったなら、そろそろ衣替えの前に着ようと、
初夏用の下着の準備をすることにしました。





工夫その1

天然繊維は温度、湿度調節能に優れ、少々の暑さ寒さに対応する能力がある。

従って、下着から化学繊維を追放する。


工夫その2

着る枚数を減らす。


工夫その3

着方で、体の熱を放散しやすくする。

まずは工夫その1 : 素材の研究


名古屋における真夏の下着は、もう麻以外考えられません。

ただし、若くて元気な人、暑さには強い人はこの限りではありません。


しかし、5月、6月、梅雨明け前の7月、では、まだそれほどのことはないので木綿でも大丈夫。



骨董市を見ていて良い物に出会いました。

それは、レースの長襦袢。

長襦袢党の方には、これはとても良い物と思います。

肌襦袢には、夏の下着で書いた綿ローン、綿ボイルのすっきり簡単夏下着肌襦袢を使用しましょう。

綿レースは肌触りも柔らかいので肌襦袢省略でもよいかも。



一方、うそつき派にとって、4月5月の初めはうそつきお袖の付け替え時期です。

初めから、綿のお袖のついたうそつきもありますが、滅多にお目にかかれません。

そこで、綿でお袖を作り、それを今までの袖と付け替えれば良いのです。

あるいは、綿レースの長襦袢を見つけたら、それのお袖をはずし、それをうそつきに付け替えれば簡単です。

綿レース長襦袢の見頃も丹念にほどくと、意外に大きな布になり、お袖を作ることも出来ます。

最初から
綿レースの
お袖の付いた
うそつきを見つけました






問題は、綿レースの長襦袢が最近の物ではないため、袖の巾が小さい場合があることです。

(袖丈は買う時にちょっと注意しましょうね)

そこで簡単な工夫を一つ。

自分にあった袖の巾より小さい場合。

1:うそつきの胴に縫い付ける時に袖付けの部分の方を着物の袖に合わせましょう。

裄短くて困るのは袂の振り(後ろ)から襦袢の袖が出てきてしまうこと。

2:透ける着物には着ないようにしましょう。

袖口の方が短いことがばれて恥ずかしいです。透けなければ、それほどわかりません。

3:手首の所(つまり裄)は短くてもそれほど目立たないので、そのままでもOK.

ただしちょっと工夫するならば、どこかで幅広のレースを見つけて

それを付けると袖口から手首とともに見える所にレースが見えてステキ!


こんなレースがあると
6cmもの巾を
稼ぐことが出来ます。

筒袖付きのうそつき
にこんなレースが
付いていることもあります


着物の袖口から
手首のまわりのレースが
こんな具合に見えるのです。





では、木綿の布から (またはほどいた綿レース長襦袢の反物から) うそつきお袖を作る方法です。

ここに用意した綿レースはステキですが、

新しい物は高価だったりします。レースにこだわらず、ただの白い無地の木綿でいいです。

あまり濃い模様は薄手の着物を着る場合、透けるので注意です。

何度も洗うので縫う前に一度洗っておくと安心ですね。


木綿布を袖の巾+縫い代、長さは105cm以上x2枚用意します。
表を外にして二つ折りにし、端を縫います。
手縫いの方がなにかと便利です。
最初は少し粗めに縫っても大丈夫。

画像では右端が縫ってあります。


裏を返し(これで中表になります)
普通の長さの袖(1尺3寸または49cm)なら、
50cmのところで縫い線を引き、縫います。
このときは丁寧に縫います。


縫い終わったら、また裏を返しますが、
縫い目ぎりぎりではなく、
2mmほど離れたところでアイロンを掛けましょう。
縫い目の保護になるし、
縫い目が少々よろけていても目立ちません。


今回はほどいた綿レース長襦袢の
布を利用したので、
ずいぶん長くて、
縫い代も長いのです。

縫い代は着た時に前になる方に
縫いつけておきます。

上の写真では
後ろから前を見たことになります。

ここで、袖の幅に合わせて
両端の始末をします。
三折りぐけにできるといいですね。


この布は袖の幅より狭かったので
端の始末はせず、
テープ状の綿レースを縫いつけて、
巾を稼ぐことにしました。
外から見える袖口と振りだけに
レーステープを縫いつけます。

テープを縫う時のコツは
振りは外から見えるので内側に縫う。
袖口は中から見えるので
外に縫いつけることです。


上の写真は右側が袖の下側
左側が袖の上、つまり腕の方です。

もう片方の袖を作る時は
よく注意して左右対称になるように作りましょう。

同じ物を作っては、だめですよ。


いよいよ出来たお袖を胴に縫いつけます。
ここが意外に難しいのです。
うそつきの胴と着物の背中心を
きっちり合わせて重ねてみましょうか。

袖口からレースが見えないように注意します。
振りからちょっと見えるのはそれほど気になりません。

袖付け位置をうそつきの筒袖に印付けします。



筒袖の印に合わせて
直接のせてみます。

念のため、物差しで
背中心からの長さもチェック。
裄は合ってますか?
いよいよ縫いつけます。
しっかりした糸で
ざっくり縫います。
(秋になったらまた付け替えます)

うそつきの筒袖の脇はあいているので
お袖もその部分は縫いません。
これが身八口と言うところで
涼しさのポイントです。

さらに縫い初めと縫い終わりは
しっかり補強して縫います。
袖が引っ張られた時に
取れないためです。


完成したうそつきを
着物の袖に入れて見ました。

レースの付け方で
ちょっと幅が広くなって
振りからちょっと見えてしまいましたね。
注意しましょう。
(貴重なレースなので、はずそうかしら)




さあ、これで5月からの暑い季節も少しは涼しく過ごせますね。

お出かけには日傘と扇子を忘れないように!


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